ゼロからイチを生み出す難しさ。/ゼロ(堀江貴文)



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「ゼロの自分にイチを足す。」
本書のテーマだけど、これは本当に難題だと思う。
イチをヒャクにするのと、ゼロからイチにするのはワケが違う。

 

ホリエモンは、お金とは信用を数値化したものであり、自分を信用するという「自信」こそがイチをつくることと言う。確かに自信は必要で本質だけど、自信を持って進んでいく道こそが困難をきわめる。アドバイスなんかしようがなくて、選んだ道をあきらめずに走り続けるのみなんだけど。そうして「実績」というイチをつくることができたら「自分の名刺」が生まれる。たとえば、旅を仕事にするなら、旅をして本を実際に出版したというような実績が必要だ。最初の一冊目は、誰も取りあってくれないだろう。そんな中で、どう売り込んでいくか。きっと、二冊目は少しは楽になるだろう。

 

ところで、『貯金がないと不安だと考える人は多い。なぜ不安なのか?自分に自信がないからだ。自信がないから将来の自分が不安になる。その不安を貯金で穴埋めしようとする。根底にあるのは、カネさえあればどうにかなる、というお金への妄信』という指摘にはうなずかされた。

 

また、家庭環境が良すぎても、天才は生まれにくいのかもしれない。「両親みたいにはなりたくない」という反骨心が天才をつくる確率が高いと僕は思う。『自分が事を成すとき、両親の顔が浮かぶようでは自立が足りない。』ホリエモンがいうと情がないように読めるが、そうではない。それも自分に自信がないからだ。自信がないから「両親のために」という世間体のいい将来を妄信するのだ。

 

『誰もやらないのなら自分でやるしかない。100人が気づいているが、幸運にも自分もその中の1人に入っている。いま、このタイミングでやらなければ、あっという間に1000人が気づき、1万人が気づき、僕はその他大勢になってしまう。そうなれば資本の力に負けてしまうだろう。何者でもない学生の僕に勝機があるとすれば、スピードだ。そこで勝つしかない。』ホリエモンは、そう考えて、会社を興したそうだ。僕も数世帯で住むシェアハウス「ペアハウス」を構想したとき、100人のうちの1人である気がした。そこで、借金をしてでもひた走るべきだった。初期投資と物件の壁で立ち止まったとき、僕は負けたのだ。そうしているうちに、何者かによってペアハウスの構想は実現されていった。

 

『小さな成功体験の前には、小さなチャレンジがある。そして小さなチャレンジとは「ノリのよさ」からはじまる。』その「ノリ」を僕は欠いてしまったんだ。僕が目標としている2015年の世界一周の旅だってそうだ。なんなら、あした出発してもいいんじゃないか?2015年までの準備期間という設定に、保身は含まれていないか?そんな考えから自由であることがホリエモンたるゆえんなのだろうと思う。

 

『やりがいは、見つけるのではなく、つくるもの。そのためには「没頭」が必要。そのためには今日という1日でギリギリ手のとどく目標設定が必要。』それを積み重ねてこそ成長できる。自分は本当に「ギリギリ」の世界で生きているのか、見直さないといけない。

 

ちなみに、序盤はホリエモンの自伝。幼少時代からの天才っぷりには驚かされる。小学生のテストは10分で100点。中学生で大人ができないプログラミングを完遂。高校生でF判定から数ヶ月で現役東大合格。根っこにあるのは百科事典を読み続けたという知の財産と、英単語本のすべての文章を丸暗記できる集中力。そして、受験に何が必要なのか最初に分析して見抜ける戦略眼か。

 

ホリエモンといえども「天才だから」と屈してはいけない。自分に取り入れて、あしたに生かしていかなければ。