風邪の通り道
風邪って、ほんとうに忘れたころにくる。
さすらいの風が、世界中を旅していて、
それに吹かれた者だけが感染していくみたいに。
【1日目】
僕の場合は、まずノドにくる。
朝起きたとき、もしくは会社からの帰り道に、
「ノドが痛い」と気がついたときにはもう遅い。
これから登らなければいけない辛い道のりに思いやられる。
【2日目】
案の定、鼻水が止まらなくなって、発熱。
この日がいちばん辛い。が、ひたすら食べる&寝る。
【3日目】
すると、鼻水のかわりに咳が出る。
「ああ、峠を越したかな」とちょっと安心する。
【4日目】
そして、咳も弱まって鼻声だけが残る。
さらに1週間から2週間、風邪の余韻と戦うことに。
この間に油断するとブリ返すので気は抜けない。
僕の風邪は、判を押したようにこの道のりをたどる。
誰の身体にも、そんな「風邪の通り道」があるのではないだろうか。
まるで儀式のように、まるで巡礼者のように。
現在、4日目。今回も、何とかやり過ごした。
風邪は「もっと身体を大切にしろ」という戒めかもしれない。
「うがいしてなかったなぁ」「野菜食べてなかったなぁ」とか、
ベッドで苦しみながら不摂生を嫌でも振り返ることになるから。
身体は資本。体調管理だけはちゃんとしよう!
今度こそ、絶対に!
という気持ちを忘れたころに、
僕はまた、風邪に吹かれることだろう。