ルミネのCM炎上に見るアンダーグランドな言葉を使うときの注意。



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ルミネのCMが炎上している。
男性上司のセリフがセクハラのオンパレードということで、公開してすぐに批判コメントが殺到。現在すでに動画は非公開となり、ルミネサイトには謝罪文まで出している。不買運動を明言するほど不快感をあらわにしている人も多く、数々の傑作グラフィック広告で築き上げてきた好印象が一瞬で壊れていくようである。
今や「ルミネ」で検索したら今回の騒動についてのリンクばかりがズラリと出てくる。ホームページを探すのに苦労したほどである。この状況はしばらく続くどころか、ある意味では永遠に残るともいえるのではないか。

 

なんとかネットを潜り抜いて第1話の動画を見てみたが、確かに男性の僕でもイラっとした。
…と言いつつ、「顔疲れてんな~残業?」って醜悪なセリフを聞いてフラッシュバックしたのは、似たようなセリフを僕も女の子に行ったことがあるということ。心配の意味をこめたつもりではあったけど、それを思い出してゾッとした。

 

僕ですら経験があるということは、ある意味では誰もが経験のある、共感を誘うセリフではあるのだろう。「重要がある、ない」というセリフも、口にしたことがある人は多いと思う。広告としてショートストーリーをわかりやすく伝えるために、誇張あるいは、本来あるはずの「余白」が削除されたことで、今回のように批判が起きるCMになってしまったのだと思った。

 

プライベートな言葉やアンダーグラウンドな言葉には、相手を理解しているからこそ言える言葉が多分にある。
ちょっと小声になるような。決して初対面の異性には言えないような。そんなセリフも、うまく広告で使えば「そうそう!」という共感を得られる手段なのだと思うけど、そこはかなり慎重にならなければならない。少なくとも無理に1分に収めるのではなく、時間をたっぷりとって余白込みで伝えられる、映画のような動画づくりをしなければいけない。インサイトを掴むために、すれすれを走りたくなる、走ろうとすること自体は間違っていないけれど、そういうときこそ公開前にたくさんの人に見てもらうべきなんだよな。当たり前だけど。

 

人のふり見て我がふり直せ。身が引き締まる思いがしました。とはいえ、いつものルミネのグラフィック広告、とくにそのコピーはやっぱり大好き。この世界観でのCMというか、余白がたくさん詰まった、映画に近いショートムービーを、ソラニンの三木孝浩監督(もちろん蜷川実花さんでも)あたりで見てみたいなぁと思うのでした。

 

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