世界が資本主義なら、市場を予想することは、未来を予言することだ。/冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート



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「冒険投資家ジム・ロジャーズ」直訳感がすごいけど強い肩書きだ。ギネス記録になるほどの走行距離数を、バイクやベンツで世界中旅しながら、時代を読み、しかるべき国の企業に投資する。

その根本にあるのは、政府の言うことを信じない、誰かが言うことを信じない、自分の目で真実は見抜くもの、という人生観である気がする。

ロジャーズ自身も、早熟で聡明な生い立ちのようだが、10年ぐらい投資業界で不眠不休で働き続けるという経験がある。だからこそ、すべての相場を見抜ける力が備わっているようだが、投資を専門にしない僕たちならば、自分の専門分野で戦うべきだろう。

投資における彼のアドバイスはこうだ。自分の仕事分野など、「これだけは誰にも負けない」という専門分野の知識をたくわえ続けること。その世界で投資すること。短期ではなく長期で、たとえば10年後に売買する。大切なのはただひたすら待つこと。

「給料がいくらかと問う前に、それが本当に間違いのない仕事なのか、そこが本当に自分のいるべき場所なのかを考えろ」とある。正しい場所で正しい仕事をしていれば、お金はあとからついてくる。お金は一番最後に考えるべきことなのである。

世界が資本主義である以上、市場を予想することは、未来を予言することだ。彼は21世紀の預言者足りうる知識と経験ががある。

たとえば、BRICで本当に成長が約束されているのは中国のみだと彼は言う。他はミャンマーと北朝鮮。インド&中国と接しているミャンマー、中国と接している北朝鮮ともに投資先として最適だそうだ。また、アメリカでは市民権を放棄する人が増えているそう。海外で口座を持てなくする法案が成立したからだ。日本を含め、アメリカなどの人口が減っている先進国はヨーロッパの斜陽の国々と同じ結末になるという。

そんな彼が子育ての地に選んだのが、シンガポール。理由は、子どもが成功するためには、ネイティブレベルでの中国語がモノを言うからだそう。しかも、医療制度も教育制度も随一の国らしい。シンガポールでは、公立学校共通試験(PSLE)を全6年生が受けるらしいが、1番をとった生徒と両親の写真は新聞の一面を飾るらしい。その他でも、日本でいうスポーツ選手のように、良い成績を収めている生徒がよく記事になるらしい。

冒険投資家、ジム・ロジャーズ。話もおもしろいが、その存在自体がおもしろい。著作をもう少し読んでみたいと思う。