熱意は準備に現れる。その準備が結果に現れる。



201310091422_2

オリンピック大会の競技だと、メダルが金、銀、銅と3つあります。
でも招致レースは金メダルが一つだけです。銀も銅も意味がない。

その言葉にはとてつもない重みがあった。
この本には、オリンピック招致決定までの物語が記されている。

オリンピックプレゼンの勝負所は、45分間の予定のIOCからの質疑応答。
前回招致の際は20もの質問をあびた。今年は100の想定問答を準備。
結果、質問は5つ。予定より20分早くプレゼンが終わった。

おこがましくはあるけれど、僕たちのプレゼンと同じだな、と思った。
熱意は準備に現れる。その準備が結果に現れる。

「勝つためには戦略が幾重にもできていないとダメなんです。例えば、
某IOC委員は間違いなく、1回目の投票で東京にいれることができないのであれば、

じゃ、その次の2回目はなんとか…といった話ができていなかったのです」

ミズノ相談役の上治丈太郎が言う。2016年招致の際は熱意も準備も足りなかったと。

 

ところで、
僕は、オリンピック招致が決まったときの、この写真が忘れられない。

Argentina 2020 Vote Olympics

クリステルに惚れなおした、という話ではない。フェンシング太田雄貴選手の「表情」だ。
プレゼン前にはスクリプトがぼろぼろになるくらい練習していた、という話もグッとくるが、
まさに、大活躍!という働きだったそう。

自ら「現役のアスリート代表」として、招集団に「パッション」を注入する役目と心得て、
プレゼンターとして紹介された際は、フェンシングの構えをして会場の笑を誘った話も。

「僕はみんなに銀座のパレードのような“祝祭”を感じてもらいたい。日本のよさ、
こんなにスポーツが大好きな国民がいるということを伝えたいのです。」

想いが極限までつのり、考えに考え抜いた人ほど、発する言葉はシンプルになるものだと思う。

 

そして、本番に関するお話も。
競技会場の大半が、1964年東京五輪の会場も点在する「ヘリテージゾーン」と、
新設会場が多数を占める南東部の「東京ベイゾーン」に分かれるらしい。

東京に住んでいてもベイゾーンにはなかなか行かない。
でも、実は未来都市のように自然と都会が共存していて美しい。

レインボーブリッジを通りながら、毎日、アスリートは
こんなに素晴らしい景色を見ながら試合に行くんだなって思うと、
東京開催は、海外から来る選手に対してすごく誇れるお祭りになりそうだ。

pub_main1

つい先日、市川崑監督の長編記録映画「東京オリンピック」が観れる機会があって、
1964年オリンピック当時の熱を感じた。それは、今までに見たことがない
「人から生まれるエネルギーの集合体」だった。

2020年なんてもうすぐだ。そのとき、僕もその熱を受けとるだけでなく、
発する側の立場にいたい。太田雄貴選手に負けないくらいに。そう強く思いました。