「ノマド」は死んで、「社畜」が生き残る。



1106338017

「普通に働け」タイトル通りだが、
世の中に今欠けている視点を提示している。
正確にいうと、世の中の視点が偏り過ぎている中で、
中庸に戻そうという視点を提示している。

たとえば、ノマド論争。
「ノマド」という言葉が死んだ理由として、
フリーランスとの違いが明確でなかったこと、
そして、ノマドと言われる人が高学歴&
有名企業出身だったということを挙げている。

対して「社畜」という言葉も話題になった。
こちらは、まだ生きている。
しかも、自虐的に使われる言葉になっている。
つまり、ノマド論争で可視化されたのは、
「隣の芝は青く見えるけれど、
実は、普通に働きたい」という本音だった。

「アメリカでは4人に1人がフリーランス」
というデータがあるが、フリーターも含む数値。
データを鵜呑みにするのではなく、
自分の肌による感覚を信じるべきだという話は、
身につまされるところがあった。

かつての「フリーターブーム」と
同じ末路をむかえた「ノマドブーム」。
定期的にフリーランスブームは来るのだろう。

でも、いつの時代もフリーランスになって
成功していく人がいるのもまた真実。
彼らは、元いた企業をないがしろにしない。
そこで得た経験や人脈を持って独立している。

まずは、いい仕事をする。いい仕事とは何か?
それは愛される仕事であり、期待に応えることであり、
目の前のことをやることなのだ。
ひとりよがりではなく、相手にとって価値のある仕事を。

そう結ばれるこの著作。

ラグビー日本代表、日本代表監督までつとめて、
三井住友銀行の取締役専務執行役員の言葉、
「努力は運を支配する。」
と一緒に胸に残った一冊でした。

【その他のメモ言葉】
「働いたら負けだと思っている。」
「僕ができるのは刺身の上にタンポポをのせる仕事くらいだ。」
「会社からの自由か、会社による安定か。」
「IQより愛嬌」