部活で補欠だった同志よ。あの頃の悔しさにむせび泣け。 toto CM 「最後の試合」篇
主人公は僕だと思った。
このCMを作ったのが僕でありたかった。
途中で歯をくいしばって、
画面を見つめている自分に気がついた。
それほどまでに感情移入していた。
僕は、中学校のバスケ部で補欠だった。
絶対にレギュラーになってやる。そう思って、
誰よりも早く体育館に来て、誰よりも遅く運動場をあとにした。
家に帰っても走った。毎日毎日、走り続けた。
気がつけば、長距離走では学校で1番を争えるほど速くなっていて、
中学校を代表して陸上大会に選抜されるほどになっていた。
それでも、バスケは補欠だった。
どれだけ練習しても、追いこせないヤツらがいる。
シックスマン(バスケ用語で6人目の選手)から抜け出せない。
他校の選手たちと、市でチームをつくる市選抜。
その選考会に行けるのは、1校につき5人まで。
僕はメンバーからもれた。
代わりに審判・スコアラー要員として、選考会に行かされた。
みじめで、悔しくて、泣いた。
誰かが活躍している姿なんて、大嫌いだった。
試合に勝ってもうれしくない。負ければいいとも思っていた。
ずっとレギュラーだったやつには、絶対に分からない。
この煮えたぎるような悔しさは。そんな自分のふがいなさは。
その痛みは、その熱は、今でも僕の底力になっている。